健康コラム「目線」



私のクリニックにはお年寄りばかりでなく(失礼)小さなお子さんもよく来られます。小さな患者さんは椅子から降りて診察します。彼ら(彼女ら)の目線に立って話をし、診察します。そうすると泣き叫んでる子も、いやいやしている子も何とか診察させてくれます。1回目がだめでも2回目からちゃんと自分で椅子に座って診察させてくれます。子どもの頃から診察に来ていて、今ではお母さんになった方がご自分のお子さんを連れて診察にいらっしゃいますが、「お母さんも小さな時は大声をあげて、先生をぶったりしたんだよ」と話すと「そんなことあったけ、でも先生は好きだったよ」とお母さんは言ってくれます。(しかし、最近頭頂部がハゲだしたので、付き添いのお母さんやお姉さんから「先生も年とったね」と言われる現状は悲しいですが。) 
小さな子ども達にとって世界はどこまでも大きく、広く、怖いものなのかもしれません。彼らの目線に下がると彼らの気持ちが理解できます。 
人は気付かないうちに自分の目線を持ってしまいます。知らないうちに見下したような感じや、嫌悪感、欲望に満ちた、物欲しそうな目線を作ってしまいます。 
人は神様の前では皆同じはずなのに何故なのでしょう?年齢や経験、地位、財産がそういった目線を作ってしまうのでしょうか?怖いのは本人が気付いていないことです。小さな時に見た大きな木もこんなはずじゃなかったなと思うように、優しいこと、美しいこと、素敵なこと、ありがたいこと、感謝できることなど、案外気付いていないかもしれません。もう一度自分の目線の高さを変えて見てみましょう。そうすればもう少し人に優しくなれるかもしれません。







なんくるないさ




「なんくるないさ」という気持ちはとても大切だと思います。私たちはどちらかといえば「どうにかしなくっちゃ」ということばかり考えがちです。現状を変えようと頑張ってばかりいると心のゆとりを失ってしまいます。 現状を「変える」ことと「受け入れる」こと、この二つが大切です。どちらか一方が良くて、他方が悪いということではありません。バランスなのです。 
そういう意味では、お年よりから教えられることは大きいです。戦争をはじめ、人生の大変な出来事を「なんくるないさ」と気持ちを緩め、大きく飲み込んで生きてきたように思えます。 
大人も子どもも疲れた表情をしている人が増えています。あなたはどうですか?もっと高齢者の生き方に学ぶ必要がありませんか? 無理をする人は、相手にも無理を求めるので、無理と疲れが家庭や社会全体をぎすぎすしたものにさせてしまいました。 子育てでもそうです。親が頑張れば子どもは優秀で良い子になるはずだと思ってしまう。そうなると、出来ない子、失敗した子が受け入れられない。結果として子どもたちも強いストレスを受け、子ども同士でも他者を受けとめられずイライラしている。「どうにかしよう」だけではダメなのです。 
私が親しくしている人のことです。ご主人が認知症になり、最初は大変苦労していました。「病気なんだから、病気と認めること。どうにかしようと思っている間は、苦しかった」彼女はそう言いました。「ウチの旦那、忘れることの名人よ」そうほめる妻を横目にしながら、ご主人も屈託なく笑い、得意のジョークで周りを楽しませておられました。受け入れることによって守られている笑顔なのだとしみじみ思います。


お問い合せ
沖縄県中頭郡読谷村字大木66‒1
090‒6861‒1431








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