SALT And LIGHT #22

川上直美さん 沖縄キリスト教書店店長

川上さん

「書店の仕事はとても魅力的な仕事」そう語る川上直美さん。その胸には、聖書のみ言葉が解き明かされた信仰書によって、人生の試練を乗り越えてきた自身の経験から、クリスチャンの成長に本は欠かせないという熱い思いがあった。

本はいつも身近にあった

 「書店の仕事に携わるきっかけは、本好きの父の影響がとても大きいと思います。戦後、貧しい中、家計を支えるため高校への進学を一年遅らせた父ですが、その頃からクリスチャンだった叔父の影響で聖書やその他本をよく読んでいたと聞いています。子どもだった私たちにも、伝記シリーズや世界の名作シリーズ、図鑑セットといった本がたくさん与えられ、私たち家族にとって本は身近なものでした。イエスさまを信じた後の父は、信仰書をよく読むようになり、我が家にはいつも手の届くところに信仰書がありました。そんな環境で育ったので、私たち家族にとって本を読むことはごく普通のことでした。また、私の人生でも本、特に信仰書には、み言葉の真理を教えられたことや、主のみ心を知るきっかけになったことが何度もありました」

 

キリスト教書店に転職

 一般企業に勤めていた川上さん。勤め先の近くには、当時沖縄バプテスト連盟が運営していた『沖縄キリスト教書店』があった。その頃書店は、人員不足でスタッフを募集中。そんな折に、書店から声がかかる。「いつか神さまのための働きがしたい」と思い描いていた彼女は、安定した収入のある企業を辞め、1996年に沖縄キリスト教書店へ転職。2003年、店長に就任。その頃、夫が急病で召されるという苦難を経験する。

 「言いようのない深い悲しみと失意の中にいました。そこで神さまは『隠されたる神 苦難の意味(山形謙二著)』という本を通して、私を励ましてくださいました。感情に整理がつき、悲しみと恐れから解放され、本との出会いの大切さをあらためて実感しました」

 

 主への献身の思いは益々大きくなり、働きながら通信制の神学校を卒業。父である故・野原悦夫師の開拓した『沖縄第一バプテスト教会』で献身者として仕え始めた。


 中部地区にキリスト教書店の必要性を感じ、教会の牧師、教会員で祈り、2000年、商業店が建ち並ぶ沖縄市の中央パークアベニューに沖縄キリスト教書店の2号店として、『エマオブックセンター』が誕生する。沖縄第一バプテスト教会が入居していたビルの地下1階と1階部分に店舗を構えた。「父は本を読むことの大切さを常々語っていました。牧師や神学者が聖書と向き合い時間をかけて研究して書き上げられた一冊の本は、クリスチャンにとって大きな宝物だと思います。『エマオブックセンター』と名付けた理由も、復活のイエスさまがエマオの途上で聖書を解き明かすと、弟子たちの心が熱く燃え信仰が強められたことから、解き明かされた聖書の言葉、信仰書を通してクリスチャンが励まされるようにという願いをもって名付けました」

中部地区に書店を

 しかし、世間の本離れと電子書籍の登場やインターネットの普及により、書店経営は厳しくなり、開店から10年でエマオブックセンターは閉店を余儀なくされ、浦添市にあった沖縄キリスト教書店の一店舗の体制に戻った。


 その後、川上さんは体調不良から2015年に書店を退職。これからの自身の使命と向き合うため、義弟で教会の牧師でもあるヴェセコイ・テツェオ師の故郷、インド・ナガランド州にある神学校へ、半年間の短期留学生として赴いた。「退職した後も、書店への思いは私の中に強く残っていました。そして、いつか中部に書店をオープンしたいとの願いを持ち、祈り続けてきました」
 

 どんな状況の中でも希望を見失わない彼女には、心の支えとなるみことばがあった。

わたしはあなたがたのために立てている計画をよく知っているからだ。_主の御告げ_それはわざわいではなくて、平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ。エレミヤ29章11節
 
 2021年、沖縄バプテスト連盟の年次総会で、沖縄キリスト教書店閉店の議題が上がる。川上さんの妹である野原愛牧師は父から牧会を引継ぎ、教会でも願い求めてきた「中部にキリスト教書店を」との思いから事業譲渡を申し出た。同年沖縄キリスト教書店は、アロン318コミュニティーチャーチ(旧沖縄第一バプテスト教会)を運営母体とし再スタート。川上さんは店長に就任した。

 「新しい書店は『信徒を整えて宣教に遣わす』という教会の理念と同じ思いで始まりました。と言っても、店舗はなく、私の自宅隣の小さな倉庫からのスタートです。なかなか店舗が決まらず、悩むこともありましたが、これまで書店を利用してくださったお客様からご注文や販売のご協力をいただき、店舗がないながらも売り上げを立てることができて本当に感謝でした」

人生を変える一冊との出会いを多くの人に

 2022年5月、沖縄市知花の外人住宅に念願の新店舗をオープンした。「一冊の信仰書との出会いは人生を変えると信じています。私自身、乗り越えられないような試練の時に一冊の信仰書との出会いに救いを得ました。書店の働きは未信者の方に伝道することは稀ですが、宣教のために聖徒を整えることができる後方支援のようなものだと考えています」
 

 沖縄キリスト教書店は今年65年を迎える。解き明かされた聖書の言葉は、魂の救いと信仰生活に何より重要だ。読みたい文章を読み、得たい情報が簡単に手に入る時代において、エマオの途上で不意に訪れたイエスさまのように、あなたの人生を変える一冊との出会いを求めて、ぜひ沖縄キリスト教書店へ足を運んでいただきたい。

沖縄キリスト教書店
〒904-2143 沖縄市知花4-12−33
TEL 098-927-0220
メール info@okinawacbs.net
営業時間 10:00〜18:00 休/日曜・祝日

沖縄キリスト教書店HP https://www.okinawacbs.net

キリスト教の古本屋 https://www.tomoshibi-book.com

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