宗教法人 嘉手納バプテスト教会

戦後の開拓期

 1955 年10月、ボーリンジャー宣教師によって嘉手納町における開拓伝道が始められた。その働きは、1958 年3月に関東学院大学を卒業した渡真利文三牧師へと引き継がれ、伝道は広がりをみせていった。1959 年12月には、教会兼牧師館が建設された。当時の会員の中に、その後、教会の長老として中心的な働きをされる瑞慶山良興兄がおられた。
 

 1960 年、教会組織がなされ「嘉手納バプテスト教会」が誕生した。その後、1961 年4月に下地朝隆兄がバプテスマを受け、1965 年4月には献身し東京クリスチャンカレッジに入学した。渡真利文三牧師は10年間牧会した後、胡屋バプテスト教会の招聘により転任。1969 年6月、神学校を卒業した下地朝隆牧師が牧会者としての働きをスタートすることになった。その前に一年間の無牧の時を、信徒伝道者として教会の働きを献身的に担われた狩俣恵信兄の存在を忘れてはならない。

開拓当時
ボーリンジャー宣教師(前列2列目右端)、渡真利文三牧師(後列左端)

青少年伝道における希望

 下地牧師の働きの中で祝福の一つは青少年伝道の恵みである。昼夜たがわず青少年の心に寄り添い、祈り、語り合う働きによって多くの青少年が救われていった。その中には、愛媛県で牧会されている新垣達也牧師を始め、名嘉博光牧師、そして現在、嘉手納バプテスト教会を牧会されている泉川良道牧師がおられる。また青少年伝道によって救われた若者は、社会の多くの分野で活躍し、信仰継承者として希望の灯となっている。

神の家族としての教会

 泉川牧師は2009 年に赴任以来、教会員の関係性に注力してきた。「教会の基礎は家族です。神の家族の交わりが一番大切。それがあってこそ、教会の働きができると考えています」と語る。
 

 これまで、子ども・中高生というような世代別の教会学校システムで成長してきた嘉手納バプテスト教会。同世代の繋がりはできるものの、異年齢、つまり神の家族としての交わりが少ないことに気づいた。そこで、礼拝後に異年齢で交われる場が持てるようにと趣向をこらし、週報に割り振られた番号のチームに分かれ、メッセージで受けた恵みや祈りのリクエストなどを出し合う分級をスタート。それにより、教会全体にまとまりが生まれ、異年齢でも自然と会話をするようになった。

「神さまが集めてくださった神の家族との関係を大切にする」それがアットホームな教会と言われる所以である。

泉川良道牧師と宗教法人代表の奥間隆伸さん

新会堂建築、さらに教会が一致

 2022 年4月、読谷村にて嘉手納バプテスト教会大湾東チャペルが完成。この移転には主の不思議な導きがあった。元の会堂は1981 年に建てられており、激しく老朽化しているわけではない。しかし、玄関を出るとすぐ道路に面しており、子育て世代が常にいる教会は安全な場所であるべきだと、移転の必要性を感じていた。
 

 転機が訪れたのは10年ほど前。隣接する読谷村にて、返還された軍用地の整理事業が始まった。土地区画整理組合の理事長は、この地域に教会が建つことを希望しており、意図せず、その事を伝え聞く教会員との不思議な出会いがあった。同じ頃、泉川牧師が「大湾東土地区画整理組合」と書かれた車を目にし、読谷村で新しい街づくりが始まることを知る。

 教会移転の場所に最適だと直感した。偶然とは思えない出来事に神さまの導きを感じ、読谷村への移転を祈り始める。そして、国道から見える場所に500坪の土地を取得。その後、女性設計士との出会いにより、建設が進み始める。また、教会の女性会メンバーが中心となるスマイリープロジェクト(会堂建築資金造成献金)も始まり、それぞれの得意分野で手作りの品物を販売。「無理なく・楽しく」をモットーとし、女性たちにも活気が出てきた。
 

 教会員の希望を盛り込んだ新会堂は、天井が高く開放的な空間。風通しが良く、木の香りが自然と安心感を与える。また、お年寄りや障害のある方のために平家にこだわった。玄関はガラス貼りにし、地域の方に中の様子がオープンになるような工夫も凝らしている。さらに、平日は教会員が運営する児童デイサービスの施設として開放し、地域の方の行き来がある。


 会堂建築という大きなプロジェクトを経て、教会員の関係性は益々良くなっているそうだ。「教会の働きは良きサマリヤ人と言えます。必要のある方の隣り人になることです。必要に応えるとは愛することです。読谷・嘉手納地域の方の課題や不安を知り、交わりの場を提供したり、必要の手助けをしたい
と思っています。それが宣教に繋がっていくと信じています」と泉川牧師は語る。
 

 地域に馴染むようにとの思いから、会堂の名前を「大湾東チャペル」と名付けた。その名の通り、地域の方がフラッと訪れたり、「お祈りしてみたいけどいいですか」と言われるなど、嘉手納バプテスト教会は、地域に開かれた教会として、さらなる歩みを進めている。

新会堂
宗教法人嘉手納バプテスト教会

〒904-0311 読谷村字比謝510番地
Tel 098-956-2164
メール kadenach@oasis.ocn.ne.jp

主日礼拝(日曜日) 小学科礼拝 9:30 一般礼拝10:30
祈祷会(水曜日) 第一祈祷会10:30 第二祈祷会 19:30

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