プロが教えるコミュニケーションの極意#3

仲兼久みち子 人材育成トレーナー・フリーアナウンサー・フルーツミニストリーメッセンジャー

コミュニケーションマインド

「人から出るもの、これが、人を汚すのです。内側から、すなわち、人の心から出て来るものは、悪い考え、不品行、盗み、殺人、姦淫、貪欲、よこしま、欺き、好色、ねたみ、そしり、高ぶり、愚かさであり、これらの悪はみな、内側から出て、人を汚すのです。」 マルコの福音書 7 章20 ~ 23 節

良いコミュニケーションがなされない原因は、上記の聖書の箇所で言われているような事が人の心の中に潜んでいるからです。

例えば!

  • 口を開くたび、人の悪い噂話をネタに会話をする 
  • 否定的なコミュニケーションが習慣になっていて、
  • すぐ「できない」「無理」「嫌」「疲れた」という言葉を会話の中で定期券のように口から出す 
  • 嫌味を言う癖 
  • 何かにつけ愚痴、不平、不満を垂れ流してしまう 
  • 言い訳をすることが常習化してい

人によってそれぞれのコミュニケーションの特徴があります。大方が悪い習慣です。類は友を呼ぶと言われますが、人の噂話ばかりしている人には、そのような同じ習慣を持った人々が集まるものです。それは周りに伝染していくため、与える影響も深刻です。

また、今日のコミュニケーションの悪い習慣はマスコミやネットで繰り広げられる批判的な情報です。私たちは多かれ少なかれ人が批判される噂を聞いて、知りもしない人のことを色眼鏡で見るようになってしまっています。

このような悪いコミュニケーションの習慣は、聞いた人が汚染されていき真実を確かめることもできず、放たれた悪い情報を信じ込んでしまう結果になります。いろんな情報が多くありますが、真実がぼやけ、正しい情報を選択するのが困難な時代です。

人の内側にある悪意が人を汚すので、良いコミュニケーションの習慣をつけるために、私たちは正しいマインドを心がけ、人
の徳になることを表現できるように身につけることが大切です。

「良い人は、良い倉から良い物を取り出し、悪い人は、悪い倉から悪い物を取り出すものです。」マタイの福音書12 章35 節

と、あるように良いコミュニケーションは、良いマインド(心)から取り出されます。良いマインドは、人に寛容であり、親切で、人を妬んだりせず自慢したり、高慢になりません。礼儀と感謝の心を持って人に接し、怒らず、人を赦すことができます。周りに喜びと平安をもたらし、良い影響力を与えるものです。私たちの心を野放しにしていると、いとも簡単に悪い方の習慣に走っていきます。

しかし、良い習慣は、私たちが意識して、決心して練習していかないとなかなか身につかないものなのです。では、コミュニケーションマインドで重要視すべきことは何でしょうか。

1番重要なものは、人間性(人格)

コミュニケーション能力を高めるためのトレーニングは必要ですが、これが第一の要素ではありません。

裏表がある二面性や不誠実等、人格の部分で根本的に欠陥があるならテクニックや戦術を使ってうまくいったとしても、良い人間関係は長続きはしません。二面性はいずれ相手の不信感を招き、どんな巧みな言葉を使っても相手の心に誠実さを届けることができません。

信頼という土台がなければ真のコミュニケーションは成功しないのです。基礎となる人格があってこそテクニックも生きてきます。米国のエッセイスト(ウィリアム・ジョージ・ジョーダン)の有名な言葉があります。

『人の持つ善や悪を行う力が、人知れず無意識の内に絶えず周囲を左右している。強い力だが実はそれは行動や
外見ではなく、人の本性の表れなのだ』

(平穏の威厳より)

まず第一に大切なのは、見せかけではなくあるがままの自分、人格がどんな言動よりも重要だということです。

まずテクニックを駆使するより、自分の心と真剣に向き合い、良い倉になるよう努力することが一番重要視すべき点です。

パラダイムシフトを意識する

パラダイムシフト=発想の転換

「視点は立ち位置で変わる」と言います。一つの見方から別の見方に移行する事は大きな変化を生みます。会話する相手の立場に視点を置き換えてみると、物事の見え方が変わります。

多くのコミュニケーションシーンで「こうすべきだ」「こうあるべきだ」などの思い込みが多く発生しています。私たちの態度や行動は思い込みから生まれ物事をどう見るかが、私たちの態度と行動を決めているのだと言われています。人は相手と意見が合わないと、相手の方が間違っていると瞬間的に思うようです。

私もその点で多くの失敗をしてきました。このコラムを執筆中であるにも関わらず、今日まさしくその失敗をしてきたばかりです。ある事で指摘を受け、自分に非があることを認めず、相手に非があると強情になリ、きつく当たってしまったのです。

後で冷静になってみると私に非があることに気づかされ申し訳ないやら、恥ずかしいやら、自分の所存をどこに持っていいかわからない状態でした。

良いコミュニケーションは、物事の見方、考え方、捉え方を変える、パラダイムシフトすることが重要です。自分のパラダイムを見つめ、他の人の意見に耳を傾け、他の人のパラダイムを受け入れる作業を行うことです。

その結果、客観的に物事を見ることができるようになります。

自分の根っこを変える決心

コミュニケーションはマインドの根っこの部分に手を加えることで劇的に変化します。悪い根っこを引き抜き、良い種を植え、水をかけ、肥料をやり、時にはビタミン剤などを注入していくのです。

自分のパラダイム(物事の見方、考え方、捉え方)が変わることで私たちの口から出てくる言葉の習慣が変わり、周りに良い影響を与えられるようになります。

人は自分自身を根っこから変えたいと願いつつも実際に行動する決心がつきません。

しかし、根っこを変えなければコミュニケーションの良い習慣はつかず、変わることを拒み続ければシフトはできないのです。「私はこうだから、こういう人だから仕方ない」と言い続けて、周りの人を責めたり、状況を嘆いたりしても何も変わりません。

人は心にあふれていることを語るのです。真実なこと、正しいこと、清いこと、愛すべきこと、評判の良いこと、徳と言わ
れること、称賛に値すること、そのようなことに心を留める者に変わることを決心し、行動に移すしかありません。振り返り、反省し、行動するからこそ人は成長し、変われるのです。

結局のところ、コミュニケーションは、知識やテクニックを身につけることではなく、良い心を養うということに終着します。

コミュニケーションマインドは、良い心(倉)であることを心がけることです。良いコミュニケーションを取れるようになるためには、失敗し、どこに原因があったかを探り、気づき、反省し、修正する、それの繰り返しです。

ですから毎日がエクササイズのようなものです。

体を動かし始めは、うまくいかず転んだり、滑ったり、痛かったり、苦しかったり、やめたいと諦めることが何度もあるかもしれません、日々の生活で練習することで変わります。

私は毎日通る道路で大きなトンネル工事を見てきました。通る度、道路が変化しているのを目にし、ワクワクしながら、道路
を通っています。掘り始めるところから毎日工事に携わる方々が地道に作業を進め、トンネルが完成し3 年経った今、素晴ら
しい壮大な道路の完成が間近に迫っています。

その変化を見る時、私たち自身についても、良いマインドを培うための地道な作業を毎日続けることが必要だと感じるのです。私たちの良いマインド工事は、生きている限り続けられます。少しづつ時間をかけて改善し続けることで、良い心(倉)へと近づいていきます。

変わる決心をして、良いコミュニケーションで人生を豊かにしていきたいものです。