プロが教えるコミュニケーションの極意#4
「きく」という意味には
「聞く」「聴く」「訊く」
の3 つの種類があります。
「聞く」は、
音が自然に耳に入ってくることを意味します。「聞く」は、自分にとって関心がないことは記憶に残りにくく、情
報をしっかり受け取れないことがあります。
「聴く」は、
注意を向けて耳を傾けることを表します。「聴く」は、しっかり意識を向けて耳を傾けるので、相手の立場や状況、
気持ちなどを受け止めることができます。
「訊く」は、
「たずねて答えを求めること、問うこと」を意味する言葉です。話している内容の真意を確認するために掘り下げ
て質問をして訊くということです。
例えば「自分の胸に手を当てて訊いてごらん」という使い方がありますが、真実な気持ち等を知りたい場合は、質問をしながら「たずねて」いきます。
この3 つの聴き方を、時と場合に応じて使い分ける。
ビジネスシーンでは、相手のニーズをしっかりと受け止めるために「聴く」「訊く」を使うことは必要不可欠です。営業等では、相手が言った言葉に対して「何故そう思うのか?」「いつそれを行いたいのか?」「決定権は誰にあるのか?」と、深堀りをして質問することにより相手のニーズが明確に見えてくるようになり、より的確な提案をしやすくなります。
また、相談事、カウンセリング、相手の成長のためには「聴く」の姿勢で寄り添いの気持ちを持って接することが必要です。そのためには相手の話にしっかりと耳を傾ける「聴く」を実践する必要があります。「聴く」は、思っている以上に高度なスキルですし、忍耐のいる作業です。
私たちは、相手の話を聞きながら次に何を話そうかと考えていることが頻繁です。そうなると相手の話の真意、必要としていることをほとんど理解できていないでしょう。
「聴く」は、何かアドバイスをすることを考えたりせずに「ただ聴く」に徹することが一番です。
それがなかなか難しいのです!
良かれと思って、聴いた話の何倍も話す人がいますが、大きなお世話になってしまって、残念な感じです。恥ずかしながら私もよくそれで失敗します。ですから「聴く」場合は、意識して「聴く」に徹することです。
しかし、「聴き手」になるということは、相手の感情の部分も共有することになるので、精神的な負担も大きいです。これまで私は、社員研修等で「聴く」「訊く」を使うことを多く勧めてきました。ですが、時には「聞く」を使って、スルーしなければならない会話があります。
何故なら、人々の会話には、かなりのネガティブ要素が多く含まれているからです。
また、他の人から自分に対する批判的な言葉や暴言を吐き捨てられ、それをすべて受け取ってしまうと私たちの精神は持ちません。
私たちはいつも良い人になる必要はなく、時には「聞く」でスルーしてもいい場面があります。精神的に、体力的に「聴く」のが難しい時には、あえて「聞かない」を選択する賢さも必要だと思います。
きかない選択
何故なら、昨今あまりにも人を批判する情報が溢れているからです。
何かを発信すれば、それに対して必ずコメントがつき、良いコメントだけならいいですが、必ず悪いコメントも受け取ってしまうことになります。私たちは情報を選択し受け取るべきです。これはネット上のことだけではありません!
日常生活の中でも心ない言葉や、
激励のつもりで放たれる説教、
会うたび愚痴や不平不満を垂れ流す会話、
毎日親身になってそれに耳を傾けていては大変です。身が持ちません。
言葉は語る人の心を通して出てくるので、その通り管が必ず真実とは限りません。人は聞いた言葉を心に入れ、それが良くない事だった場合、落ち込んだり、怒ったり、嘆いたりするものです。心ない言葉を投げかけられ、それを一度心に入れてしまうと何度もその言葉を回想し、その言葉を取り除くことができず自分をどんどん苦しめていく結果になります。
私は以前コールセンターで管理者をしていた時、電話対応をしていたコミュニケーターがお客様から「死ね!」と吐き捨てられたことがありました。
そのコミュニケーターは、その言葉がトラウマとなり仕事中に何度も過呼吸に見舞われ、電話を受ける仕事がかなりのストレスとなり、心を病んでしまい退職してしまいました。対面だと言えない言葉を何故か人は電話やネットだと、きつい言葉をどんどん投げてくるものです。
そのような言葉を受け入れてしまわないスキルも必要だと思うのです。言葉は暴力になり得ます。人を傷つける偽りの言葉に気をつける必要があります。
自分を守るために、投げられたボールを受け取らずに落としても構わないぐらいに考えてもいいのではないでしょうか。
神様は、一人一人を「高価で尊い、あなたを愛している」と、言われます。
これが真実であり、人は神から愛される存在として生まれてきました。批判的な言葉は「何か雑音が入ってきた」くらいの「聞く」でスルーしたらいいと思うのです。
ですから「きくスキル」は、時には「きかない」という選択肢も意識すべきでしょう。
「聞く」「聴く」を受け身ではなく、自分で能動的に選択できるのです。
あなたの「きくスキル」は選択するところから始まります。「真(神)の声」「偽(悪)の声」を聞き分けるスキルが必要なのです。
そのスキルをつけるために最適な教科書は聖書と言えます。
私たちは真実を聖書に照らし合わせて確認する作業が必要です。
神は、滅びることではなく生きることを選択させます。憎むことではなく愛することを選択させます。高ぶることではなく謙遜になることを選択させます。奪い取ることではなく、与えることを選択させます。
聞くことに注意を払い、自分の耳に入ってくることをよく吟味する事を学ぶ、そのようなスキルをつけていきましょう。