まことの光 トーマ・ヒロコ
「まことの光があって世に来た」
まことの光って何だろう
誰にも言えない悩みや
心の弱さを何かで埋めたくて
つい惹かれてしまう
たくさんの人に支持されていること
一見とても良いように見えること
わかりやすくキラキラ輝いていること
みんなにとって良いものが
自分にとっても良いとは限らない
心に引っかかるなら立ち止まろう
まことの光ってなんだろう
お金があれば
パートナーがいれば
仕事や地位や名誉があれば満たされる?
それでも満たされない心に必要なもの
うまくいっている時には気付かない
何かにつまづいて出会う
自分の弱さに気づいた時に受け入れる
母の胎にいる時に出会う人
人生の終わる時に受け入れる人
それぞれの時がある
まことの光ってなんだろう
それはささやかで
ちっとも派手じゃなくて
時には忍耐や試練が伴う
だけど何よりも温かい
この季節の華やいだ雰囲気が好きな人にも
気後れしてしまう人にも
等しく与えられるまことの光
温かな歌声が聞こえてきたら
さぁ、灯そう
あなたの心にも
トーマ・ヒロコ (詩人・コラムニスト)
1982年生まれ、浦添市出身。
第2詩集「ひとりカレンダー」で第32回山之口貘賞受賞。
最新詩集は「パスタを巻く」。
うらそえYA文芸賞、神バトン賞選考委員。
賛美チームVectis所属